日本での年度始にあたり、新たにシンガポールに赴任された方も多いかと思いますのでシンガポール特有の疾患であるデング熱について取り上げます。
デング熱は、シンガポールの風土病の1つと言われており、蚊に刺されることによって感染する疾患です。今年1月から3月の罹患件数は過去5年間対比で最少となっていますが、毎年4月から8月中旬ごろまでがピークであり、急激に件数が増加しますので今年もご注意ください。
デング熱は急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などの症状が見られます。通常、発症後2~7日で解熱し、発疹は解熱時期に出現します。
デング熱患者の一部は、まれに重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがあり、早期に適切な治療が行われなければ死に至ることがあります。
シンガポールでは、メスのネッタイシマカがデング熱の主要な媒介蚊となっています。ネッタイシマカは都市環境で繁殖します。都市環境は、卵を産むための多くの生息地と血液を吸うための環境が整っていると言われています。
シンガポールでは毎年、赤・黄・緑のシグナルでお住まいの地域でのデング熱の流行がわかるようになっています。お住まいの地域が緑のシグナルであったとしてもネッタイシマカは短い寿命で1匹あたり300個の卵を産むと言われており、局地的に急速に拡大する可能性があり警戒が必要です。
感染を予防するためには以下のことにご留意ください。
1. 蚊から身を守ること
デング熱の媒介要因であるネッタイシマカは昼行性で、特に日の出から日没の間に活動するため屋内にいることが望ましいですが、屋外にいる場合は虫除けスプレーや虫除けパッチでの対策をおすすめします(これらの製品もシンガポールのドラッグストア等で購入可能です)。また、脱水に注意した上で長袖・長ズボンの着用も効果的です。
2. 衛生的な生活習慣
デング熱にかかる原因となる蚊は、水たまりやゴミの中で繁殖します。そのため、ごみをきちんと処理し、水たまりを作らないようにすることが大切です。特に、プランターやベランダなど、水がたまりやすい場所は注意が必要です。
3. 早期発見・治療のための意識
デング熱に感染した場合、発熱や関節痛、頭痛などの症状があります。
以上のことに注意し、衛生的な生活習慣を心がけることでデング熱の予防につながります。上記の症状がある場合は速やかに医療機関を受診し専門家の指示に従うことで早期発見・治療が可能となります。
新しくシンガポールに赴任された方も日々楽しく安心して生活できますよう、何かございましたらお気軽にご相談ください。